平山郁夫絵画作品
日本の風景

八雲立つ 出雲路古代幻想

  • 日本
  • 平山 郁夫
  • 1998
  • 紙本彩色
  • 171.0×545.4cm

本作は「出雲路」シリーズの大作である。太古の頃より雲が幾重にもかかり、神々しい雰囲気を醸し出す場所が島根県に存在する。平山は実際にその光景を目の当たりにできないか、そんな思いの中で出雲市周辺を何度も取材を行った。そして、ある日の早朝、現在の雲南市加茂町にある光明寺周辺で「八雲立つ」にふさわしい光景を目にし、その時の感動を著書の中で記している。

「もくもくと湧き出ずる雲海が眼下に見えた。雲の上に山の嶺が処々に見せていたが、神秘的で、感動的な八雲立つ情景に言葉を失った。これぞまさしく、神話の世界であり、幻想の世界である。が、現実の世界の眺めである。きっと古代の人々は、この神秘的な美しい世界に、神々を思ったのだろう。この気持ちは今も生きつづけている。神秘的であり、崇高な日本的風景である。この素晴らしい感動を絵にしようと心に刻んだ。」