平山郁夫絵画作品
日本の風景

平成の洛中洛外(右隻)

  • 日本
  • 平山 郁夫
  • 2003
  • 紙本彩色
  • 183.0×362.0cm

日本の室町時代に「洛中洛外図」と呼ばれる画題の作品がある。当時の都である京都の名所や神社仏閣、年中行事、市井の人々の様子が俯瞰的に描かれた絵画である。平山郁夫も室町時代の画題の一つである洛中洛外図をテーマにした作品を描き、2003年に≪平成の洛中洛外(右隻)≫、2004年に≪平成の洛中洛外(左隻)≫を発表した。これらの作品と合わせて画家は、個々の名所や神社仏閣、この地の伝統文化を担う人々にも目を向けて描いてきた。こうした着想は、シルクロードの集大成ともいうべき≪大唐西域壁画≫(2000年・薬師寺玄奘三蔵院)の制作が終わりにさしかかった頃とも言われ、日本文化の源流を求めてシルクロードを旅しつづけた平山は、ここで改めて日本の古都である京都に目を向けたのである。平山が現代の姿で洛中洛外を描くきっかけになったのは、「時移り、人変われど、日本の文化を育んだこの町は、私たちにとって永遠の都であると思う。世界が認めた「文化」としての京の町は日本民族が永い年月をかけて造りあげた芸術作品といえよう。私たちはこの町を誇りをもって次の世代に無事伝えなければならない。」からであるという。続けて画家は「私は京の町に限りない感謝と愛を込めて筆を執った。自分の生きた時代の京都を自分の手で描き残す。私はこのたびの作品を総称して「平成洛中洛外図」とした。」と述べている。