平山郁夫絵画作品
シルクロード

文明の十字路を往く アナトリア高原 カッパドキア トルコ

  • シルクロード
  • 平山 郁夫
  • 2009
  • 紙本彩色
  • 171.0×364.0cm

標高 1,000メートルを超えるアナトリア高原の中心部に広がるカッパドキア。柔らかい地層と硬い地層が重なりあい、侵食されて生みだされた奇岩が延々と広がる一大奇観の地である。3世紀、ローマ帝国の弾圧を逃れたキリスト教の修道士たちが柔らかい岩をくり抜いて隠れ住んだ。以来、十数世紀もの間、ペルシアやイスラーム勢力の脅威に絶えずさらされていたキリスト教徒は次々と地下都市や僧院をつくっていった。文明の十字路であるカッパドキアの巨岩を背景にラクダのキャラバンが通りすぎる。ラクダの歩みはこの地を行き交った民族や文化の象徴であろう。

平山郁夫は亡くなる直前、病をおして本作を完成させ、人生最後の院展(第94回)に出品した。平山郁夫は、かつて、1966(昭和41)年、36歳のとき東京藝術大学の中世オリエント遺跡学術調査団で、カッパドキアの洞窟修道院壁画の模写に従事した。このとき生まれてはじめてシルクロードの地に滞在した体験が、シルクロードを終生のテーマとするきっかけになったと述懐しているが、くしくも人生最後の大作もまたカッパドキアをテーマにした絵であった。