平山郁夫絵画作品
自伝・デッサン・その他

欧州写生絵巻 −第1巻イタリー ローマ 11景

  • その他
  • 平山 郁夫
  • 1962
  • 紙本彩色(素描)
  • 32.0×378.0cm

欧州写生絵巻。平山は32歳の時、第1回ユネスコ・フェローシップのヨーロッパ留学生に選ばれ、ひとりローマに旅立った。1962年、11月から半年をかけてイタリアからフランス、イギリス、オランダ、ドイツを旅し、ひたすら絵を描き続け、のちにこの旅を振り返り、こう語っている。

「もしできることなら、欧州の旅のスケッチ絵巻を描きたいと和紙など用意して出発した。毎日、寺院や美術館を訪ね、風物などを描く時間もある。夜は、昼間のスケッチなど整理しながら絵巻でも描くのが一番よい時間の過ごし方となる。ある町では、私の写生を通りがかりの人が見ていた。画廊の主人だった。和紙の写生を見せると、売って欲しいという。スケッチ展でもどうだといっている。名前もわからない画家をつかまえて、そんなことをいうのもおもしろいと思った。

右も左も判らなかった私が、何とか無事に歩くことができたのも、絵を描いていたからだと思っている。古代、ルネッサンス、近代と、ヨーロッパ文化に接し、大変なものを学び、教えられた旅である。その記念の旅絵日記である。」