瀬戸田町祇園神社から家並みを見る
- その他
- 平山 郁夫
- 1991
- 紙本彩色(素描)
- 31.5×24.0cm
二十四の瞳
小学校のことを語ろうとするとどうしても、壷井栄さんの小説「二十四の瞳」を思い出す。瀬戸内海に浮かぶ島という舞台といい、戦争に巻き込まれていく時代背景といい、瀬戸田町の小学校と「二十四の瞳」の学校とは状況がよく似ている。だからついつい、小説と記憶が重なってしまうのだ。優秀な生徒で通っていた兄と違って、こちらは、注意されることが多かった。教室で騒ぐ、いたずらをする、走り回る……。よく廊下に立たされ、親も学校に呼ばれた。絵は相変わらず好きでよく描いていた。二年生の時には中国新聞主催の児童図画大会で二等に入賞した。朝礼で校長先生が賞状を読み上げ、賞品のすずり箱を皆の前で手渡してくれた。それを家に持って帰ると、父はことのほか喜び、知り合いのところを見せて歩いた。親ばかといえばそれまでだが、いつも学校でしかられている子供にしてみれば、父親がこんなことに感動するのがうれしくて、励みになった。