祈りの行進・聖地ルルド・フランス
- その他
- 平山 郁夫
- 2009
- 紙本彩色
- 171.0×545.5cm
キリスト教の有名な聖地、ルルド。フランス南西部、ピレネー山脈のふもとにあるこの町で、19世紀半ばに奇跡が起こった。聖母マリアが少女ベルナデッタの前に姿を現し、不治の病を治す泉が湧き出したという。洞窟からは今もこんこんと水が湧き、毎年500万人ものキリスト教徒や観光客、そして病気の平癒を祈願する人たちが、巡礼に訪れる。ルルドでは毎晩ミサが行われ、ろうそくを手にした巡礼者たちが「アヴェマリア」の賛美歌を歌いながら行進する。2007年、ルルドを訪れ、この祈りの行進を目の当たりにした平山。無心に祈る人々の姿に、国や民族、宗教をこえた普遍性を感じ、闇に耀くろうそくの明かりに、人々の心に灯(とも)る希望の光を見いだした。夕闇に浮かび上がる巡礼者たちの行進は、画家が生涯をかけて歩んだ祈りの旅路と重なり、見る者の心に迫ってくる。