平山郁夫絵画作品
自伝・デッサン・その他

パミール高原を行くロバに乗る自画像

  • その他
  • 平山 郁夫
  • 1991
  • 紙本彩色(素描)
  • 31.5×24.0cm

旅の魅力とスリル

広いユーラシアを東から西へ、西から東へ、あるいは海のシルクロードを港沿いに、古代に栄えた王城を訪ね、貴重な芸術的遺産を目指して、荒野の中を車を走らせ炎熱の下を歩いてきた。危険を冒してまで、なぜ旅に出るのか?よく聞かれるし、自分でもことがあるたびに自分の胸に問うてみた。答えはいつも決まっている。文明の原理的なものというと言葉が変だが、文明発生の原初的なプロセスがこれらの地域にはすべてあるように思え、それが困難な旅へと誘ってやまないのだ。ティグリス・ユーフラテス川、ナイル、インダス、黄河……砂漠の中で強烈な日差しにさらされる半ば崩壊した日干しレンガの建物のあとは、都市が国家へと成長し、国家間で争いが繰り返され文明が行き来したことを物語るのだ。このような感慨は日本にいては実感として得難いものだ。