太子出城
- その他
- 平山 郁夫
- 1969
- 紙本彩色
- 41.0×53.0cm
シャカ族の太子として生まれた釈迦(シッダールタ)は、王宮で贅沢な暮らしをしていたが、ある時、城の外に出て、老・病・死の苦しみを知り、宮廷生活を捨て、悟りを求めて修行の道に入った。太子は夜更けに、愛馬カンタカに乗り、家族にも告げず、ひっそりと城をあとにしたという。群青色の夜空に、三人の飛天が舞い、のちに悟りを得て覚者(仏陀)になることを運命づけられた太子の門出を見守っている。
平山郁夫の仏伝図は、釈迦の生涯における有名なエピソードを題材にしながらも、画家の自由な発想のもとに再解釈され、その幻想的な構想と、群青や緑青などを基調とした荘厳な色彩によって、独自の画境を開いていった。