平山郁夫絵画作品
日本の風景

薬師寺

  • 日本
  • 平山 郁夫
  • 1997
  • 紙本彩色(素描)
  • 41.4×32.3cm

本作に描かれた東塔は730(天平2)年の創建とされ、薬師寺で唯一、創建当初より現存している建物である。平山は述べている。「石造りの堅牢なヨーロッパの塔と、木組みの繊細で優美な日本の塔は、全く違います。先端から各層をたどって、徐々に下に達する姿は造形的にも素晴らしいものです。永続的なものとは反対の、もろい素材を用いながら、大地に足を踏ん張ってすっくと立つ姿は、日本的としか言いようのない光景です。」

2000年12月31日、境内に建立された玄奘三蔵院伽藍に、全長49mの大壁画≪大唐西域壁画≫を奉納し、管主・高田好胤師との約束を果たした。構想から完成までおよそ30年、高田師の存命中に間に合わなかったことが平山にとって唯一の心残りであったという。