平山郁夫絵画作品

平山郁夫がシルクロードに足を踏み入れたのは、1968(昭和43)年、仏教伝来の源流を訪ねてアフガニスタンから中央アジアを巡った旅が最初でした。以来40年、平山郁夫のシルクロードの旅は続いています。

玄奘三蔵がこの道を通っていったことからもわかるように、シルクロードは東西の交易の路であるとともに、それぞれの文化が行きかう交流の路でもありました。その道なき道には、文化の繁栄を支えた人びと一人一人の想いが深く刻まれています。平山は、そうした名もない人びとの想いの積み重ねが文明や歴史を形づくると考え、荒れ果てた砂漠や遺跡に人間の痕跡を探し求めてはシルクロードに取材した作品を繰り返し描いているのです。
その集大成ともいうべき作品群が連作「大シルクロード」です。昇りくる朝の太陽が照りつける中、あるいは月明かりの下、砂漠をひたすら往くキャラバン―それは平山郁夫が憧憬してやまないシルクロードと、国境や民族を越え、さらには時空をも越えた人びとの交流の象徴でもあります。